『本国の姫』暗殺計画

「公務、おつかれさまでした。この馬車も、もうすぐ王都に入る頃ですね、姫様。」
「そうね侍女ちゃん。この調子だと夕方までにはお城にに着きそうね。」
「これで今日の誕生会にも間に合いますね。急いで準備に加わらなきゃ!」
「フフフ。侍女ちゃん、はりきってるわね。」
今回、姫と侍女は王国内の領地へ公務に出かけ、その帰路についていた。
本来は姫、妹姫の誕生会の日なのだが、すぐに片付けられるものだったので、
こうして公務に出てきたというわけだ。
姫は、馬車の御者以外では、お供に侍女1人しか連れてきていなかった。
「・・・?」
姫はふと、周りの景色に違和感を覚えた。・・・いつもと通っている道が違う。
「? どうしました、姫さ・・・キャッ?!」
突然馬車が急停止をかけた。その勢いでバランスを崩す侍女。
思わず姫の胸の中に飛び込んでしまう結果になる。
「ご、ごめんなさい、姫様・・・。」
「大丈夫? ケガはなかった? 侍女ちゃん。」
本来自分が、姫の安否をきづかうべきなのだが、立場が逆転して恥ずかしい気持ちになる。
そうしていると、馬車の扉が乱暴に開かれる。
「降りろ!! 2人とも!!」
「ぶ、無礼者!! この馬車に乗っておられる方は、我が国の姫様ですよ・・・!!」
侍女の声は無視され、姫と侍女は馬車の外へと連れ出される。
いつの間にか10数人ほどの男達に取り囲まれる形になっていた。
「ひ・・・姫様・・・?」
突然の状況に混乱する侍女。足がガクガクと震えている。
と、その中の1人の男が姫に向かって声をかける。
「アンタが姫さんだな。」
「ええ、そうです。あなたがたは、なにが目的なのですか?」
「目的か? それはアンタ達にここで死んでもらうことさ。」
「アンタ達はここで、『山賊に襲われて無残な死を遂げた』ことになるのさ。」
「・・・やれ!!」
取り囲んでいた男達は、持っていた武器に力を込め、姫達へと襲いかかる!!
侍女は恐怖のあまり一歩も動けずにいた。
そして、自分へと振り下ろされる凶刃を見つめながら、死を覚悟した。
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キィィィンッ!!
甲高い音と共に跳ね返される凶刃。
「あ・・・姫・・・様・・・?」
侍女の目の前に、ロングソードを握り締めた姫が立っていた。
「大丈夫? 侍女ちゃん。ちょっと待っていてね。すぐ終わらせるから。」
姫が男達の前へと出る。
「私の命を狙うにしては、いささかお粗末な実力のようですね。」
「稽古をつけてあげます。覚悟はよろしくて?」
「く・・・たかが女1人!! やってしまえ!!」
そこからの姫の立ち回りは素晴らしかった。
ドレスのスカートを翻しながら、1人、また1人と打ち倒していく。
実は、姫の剣の腕前は、『本国』の中でも4番目の実力がある。
並大抵のレベルの者では歯が立たないのだ。
「ガッ・・・」
最後の1人も昏倒させ、決着がついた。
「お待たせ、侍女ちゃん。」
幸い、馬車の馬は無事だったため、馬に乗って王都まで姫、侍女ともに無事帰還。
その後、騎士隊の何人かが現場へと急行したが、犯人達は皆逃げてしまっていた。
結局、姫の命を狙った者を突き止めることまで出来ずに終わることとなった。
姫、18歳の誕生日の時のことである。